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2019.05.02
ひとりごと
お茶の時間で繕いを 5月 春いちばん、初々しい「新茶」
冬の厳しい寒さを乗り越えるため、ずっと頑なに閉ざしていた枝から少しずつ柔らかい芽が顔を出し、立春から数えて八十八日目ごろに旨味たっぷりの新茶として世に出てくる。
その蓄えられたエネルギーを含んだ小さな葉は
上質な絹衣のように 薄く、柔らかく。
葉の色はまだ強い光に出逢っていない鮮やかな黄緑色。
産まれたての小さな葉は芽吹く為の力を蓄え、強くもあり、繊細でもある。
優しく、丁寧に扱わないとプィッと気を損ねてしまう。
まるで駄々をこねる小さな子供のように手がかかる
その鮮やかな緑のお茶をひとくち口に含むと
思わず「はぁーっ」と漏れてしまう声。
一瞬で硬くなっていた心は柔らかくなってしまう。
これが新茶の魅力。この時期にしか味わえない若草色の魔法です。
新茶は4月中旬から5月ごろまでに摘まれた若葉をすぐに蒸す、炒るなどして加熱をして製造される。若々しい葉の香りを活かすために火の入れ具合は通常より少し弱めに製造する事も多い。
新緑の香りと美味しさはまさにこの時期しか味わえない旬の味。
毎年この季節が近づくと、「今年はどぉ?」「いつ出るの?」と心待ちにしている声が聞こえてきます。
新茶は出始めのものほど旨み成分が豊富でまろやか、太陽の光が少しずつ強くなればなるほどさっぱりとした味わいになってきます。日の光が刻々と変わりゆくこの季節がもたらす自然の恵みです。
淹れ方はあくまでも優しく丁寧に、若い葉はエネルギーも沢山蓄えているので乱暴に淹れるとエグミが出てしまいます。急須の返しは少な目に、そっと糸のような太さで注ぐとまろやかで若々し香りが広がります。
八十八夜とはだいたい毎年5月2日で、春から夏に変わり行く節目の日でもあるため縁起のいい日とされてきました。上質なお茶が摘み取られる時期としても知られています。
古来より新茶は不老不死の縁起物として多くの人々に愛され続けているのです。
さあ、美味しいお菓子を用意して、摘みたての若葉の香りと旨み、新茶からいただくエネルギーで凝り固まった身体を目覚めさせ、癒しのお茶時間を愉しみましょう。