いわり

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お茶の時間で繕いを。11月「熟成した秋のお茶」

お茶の時間で繕いを。11月「熟成した秋のお茶」

コクを増し、味わい深く熟成した秋からのお茶。

暦の上では霜降もすぎ間もなく立冬です。

木枯らしが吹きはじめいよいよ冬の始まり

春に摘まれたお茶の葉は荒茶は、温度が一定に保たれた倉庫で出荷の順番を待っています。

お茶の葉が倉庫で大切に保管されている間、梅雨が過ぎて暑い夏も迎え、落葉の季節もすぎました。

静かに呼吸しながら眠っていたお茶の葉は徐々に若々しい新茶の香りが落ち着き、時間の経過とともに、味わい深く変化していくのです。

ちょうど秋ごろから店頭に並ぶお茶は、コクがあり、味に厚みも出てくるので新茶とはひと味ちがう美味しさが楽しめるのです。

11月といえば、茶の湯の世界では特別な行事、炉開きの口切があります。

春に摘まれた碾茶(抹茶の原材料、茶臼で挽かれる前の状態)をすぐに頂くのではなく、茶壺に詰めて涼しい場所で寝かせておき、11月にその壺の口を開け、茶臼で挽いてその年の初めのお抹茶を頂く。

茶道の世界ではまるで新年を祝うかのような儀式です。遠い昔から行われていたこの行事は将軍家へ届けるため宇治から江戸へ、お茶壺道中として大切に運ばれていました。お茶がどれだけ貴重なものだったかがうかがわれます。

この碾茶もやはり熟成されるので、コクのある抹茶を味わえるのです。時が与えてくれる自然の恵みですね。

これから次の春に出てくる新茶まで、コクを増した美味しいお茶を頂けます。

春とは違うお茶で、ほっと一息お茶の時間を愉しみましょう。